世界のお茶とお話 フランス編 -文化を生きるということ-
『世界のお茶とお話』は「旅するようにお茶を愉しむ」をテーマに、世界各地のお茶を飲みながら、その国にゆかりのあるゲストとお話を楽しむお茶会です。
という、定期開催されている素敵な会、”世界のお茶とお話 フランス編”に参加してまいりました。書家の 小杉 卓 (Taku Kosugi) さんのパリ滞在のお話を伺いながら、プライベートシェフTomoko Sugeno さんのプロヴァンス料理と、中国茶藝師の資格を持つ田中 友美 (Yumi Tanaka)さんがスタイリングしたお茶をいただきます。
パリの生活を垣間見ることは、文化にまるごと触れること
トーク内容は展示会のお話から生活やアートのことと幅広く、
1つ1つの話題にに多くの時間が充てられていたわけではなかったのにもかかわらず、
全ての視点が明確で素直であることと、写真の美しさも相まって 非常に面白く拝聴しました。
文化とは生活であるというのは、元来は当たり前のこと。
音楽、美術、公園、川沿いの散歩道、ブーランジェリー、それらひとつひとつが等しく日々の延長、楽しみになっている。
街の統一感という美しさはこういうことから自然と生まれ維持されているのでしょう。
文化が生活から切り離されてしまった瞬間、本来持っているはずの無意識の美感というのは
崩壊してしまうのではないかと感じます。
そして南、プロヴァンスへ
この日は、ちょうど夏のプロヴァンス滞在から帰国されたばかりのプライベートシェフ、Tomokoさんの料理もいただくことができました。メインであるカマルグのお米とトマトのシチューなど、味付けは控えめなのですが絶妙なバランス。
ヴォリューミーだったのにもかかわらず一口一口丁寧に味わい切りました。料理の文化もやっぱり素晴らしい。料理とは、まさにライブアートだなと思うのです。材料も自然が生み出す生ものなのだから、どんなに計画していてもいつも同じとはいかない。
材料の状態、その日の気温、ゲスト、どれだけ自分のコンディションをコントロールできる方でも、常に初めてのことではないかと想像します。
ここに、レディメイドの食べ物とは決定的にちがうところがあるのです。
文化的に生きるということ
私は「文化的にある」ことで全て瞬間を生きていきたい。
音楽にしろ美術にしろ食べ物にしろ、あるレベルで文化を尊んでいる人たちには、言葉が違えど共通言語があるのです。人間というのは、生活を、生き延びるためではなく文化として生きることができる。
人に生まれたからには、それを営んでいくことが、むしろ自然な状態なのではないでしょうか。