暑中見舞いと「お手紙」習慣
日本のご挨拶
日本には二十四節気という季節の分かれ目があり、それぞれに美しい名前がついています。
グリーティングカードの文化は欧米の方が盛んだという印象があるかもしれませんが、本来日本にも相手を気遣って季節ごとにご挨拶を贈る、素晴らしい習慣があります。
今回はその中でも、年賀状の次にポピュラーな暑中見舞いについて、書き方やその時期をご紹介します。
暑中見舞いの時期
最も暑さが厳しい季節に出すご挨拶である、暑中見舞い。
投函する時期は、7月初旬から立秋(たいていは8月7日頃)までの間ですが、最近では梅雨明けをスタートとするのも通例になっています。
わかりやすいですし、実際の季節に則っているので気分も良い気がしませんか?
この時期は、季節の花々をはじめ、夏のフルーツやデザート、海や空の風景、あるいは涼しげな色合いのハガキが出回りますね。
ちなみに、「暑中見舞いハガキ」が発行されたのはなんと1950年!そして「かもめーる」が始まったのは1986年。知っていましたか?
書き方、内容
手書きのカードを出すこと自体が稀有な近年、色々と倣ったほうが良い決まりごとはありますが、書く側が楽しんでご挨拶できるのが一番ではないかと思います。そういった気持ちは、必ず相手にも伝わりますから。
とはいえ、ご年配の方や目上の方には特に、マナーを守った書き方が大切な場面もあります。
最低限のマナーを知っておくと安心感もありますので、下記にご紹介します。
5つのコンテンツ
ハガキに盛り込む内容と流れは、この5つです。
1. 暑中見舞いの挨拶
2. 時候の挨拶
3. 書き手の近況報告
4. 相手の体調を気づかう言葉
5. 日付け
1はそのまま「暑中お見舞い申し上げます」
2は、難しそうですが決まったものがあるので大丈夫です。
暑中見舞いを出す時期の言葉は、たいていこのような感じです。
盛夏の候 /小夏の候 / 七夕の候 / 向暑の候
年によっても違いますが、自分の感じるままに好きな言葉を選ぶのが一番。
一単語加えるだけで背筋の伸びるお便りになります。
3.4.については、普段のコミュニケーションと大差ありませんね。相手のことを思って書いているわけですから、自然と出てくる言葉を、素直に一言付け加えましょう。
5. 日付けを書く場合には「○年○月○日」という正確な日付けではなく、「○○年盛夏」と書くのが慣例です。
いかがでしょうか。各ポイントを押さえれば、あとは書いて出すのを楽しむだけ。
内容の多少にかかわらず、もらった方は本当に嬉しいものです。
女子のお手紙文化
この慣習を改めて見つめてみると、意外なものを思い出しました。
小中学校でよくやっていた、「お手紙」です。
毎日、毎時間会っているのに、むしろ目の前にいるのに、大したことではない近況を、ストックしてあるかわいいメモ用紙に書いてキレイに折り、(ここがポイント。いろんな折り方があり、開いたら最後、二度と戻せなくなるようなものも。) 休み時間に渡す。もちろん返事は授業中に書くのですが。
直接会えるのにわざわざ文にしてみると、同じ事実にちょっと重量感が増すような感覚がありました。すぐに携帯のショートメール、email が普通になりましたが、(LINEはありません、もちろん。)それでも頻度こそ落ちこそすれ、書いていたような気がします。
あの時のワクワクした気持ち、大人になったら季節の挨拶に変えて、ぜひ届けてみませんか。